環境にやさしい土づくり

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畜産堆肥の活用

 環境にやさしい農業はまず土づくりから

堆肥の一口メモ

■ 堆肥とは

 家畜ふん尿などを発酵処理することにより、水分や臭気を少なくするとともに、衛生面での安全性を高め、取り扱いやすくしたものが堆肥です。
 堆肥化することによって、雑草の種子や大腸菌などの細菌等の死滅・成分の安定化・生育阻害物質等の発生抑制などの効果があります。
 堆肥には、N・P・KなどのほかMg・Caなどの微量要素も含まれており、総合的な養分の供給源となります。また、土壌微生物の活動を盛んにしたり、土壌の団粒化を進めて通気性・透水性・保水性を良くする力もあります。堆肥には肥料としての効果のほかに、化学肥料では代替できない多くの効果があります。

■ 処理方法

  • 堆積発酵
     家畜ふん尿を水分調整後、堆肥舎などに堆積し、定期的に切り返して発酵させるものです。 ブロワーなどを使って強制通気する場合もあります。発酵期間は3か月から6か月程度です。
  • 攪拌発酵
     水分調整後、発酵槽に堆積し、自走式攪拌機でほぼ毎日切り返して発酵させるものです。 発酵期間は1か月から3か月程度です。
  • 乾燥
     太陽熱や風などの自然エネルギーを利用して家畜ふん尿の水分を低下させるものです。 ハウス乾燥が一般的で、乾燥期間は1か月程度です。

■ 特  徴

  • 牛ふん(尿)堆肥
     肥料成分含量が少ないものの、繊維質が多いので、とくに土壌改良資材として有効です。
  • 豚ふん(尿)堆肥
     牛に比べPやNの含有量は高く、牛と鶏の中間的な成分です。
  • 鶏ふん堆肥
     窒素をはじめP・K・Caなどの含有量も高く、肥料成分に富んだ有機質資材です。

■ 堆肥施用による効果

堆肥施用による効果グラフ

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環境にやさしい農業はまず土づくりから

 土づくりには3つの柱(深耕、有機物の投入、土壌改良資材の施用)があります。
 堆肥を施用すれば、3つの柱のうちの「有機物の投入」、「土地改良資材の施用」 のふたつの効果が得られます。
 活力ある土づくりを目指して、積極的に堆肥を利用しましょう。少し時間がかかるかもしれませんが、 続けて使えばその効果が現れてきます。
 施用量と施用時期は、次の表を参考にして下さい。

■ 家畜ふん(尿)堆肥の施用基準

単位:t/10a(土づくり推進指導資料より)

  施 用 時 期
堆  肥 乾  燥 堆  肥 乾  燥
水     稲 1 ~ 3 0.5 ~ 1 1 ~ 2 0.5 10 月 ~ 12 月
豆     類 1 ~ 2 0.5 ~ 1 0.5 ~ 1 耕   起   前
飼 料 作 物 3 ~ 5 ――― 3 ~ 4 ――― 耕   起   前



葉 菜 類 2 ~ 5 1.5 ~ 2.5 2 ~ 4 1 ~ 2 は種の20日以前
根 菜 類 1 ~ 2 0.5 ~ 1 0.5
果 菜 類 2 ~ 5 1.5 ~ 2.5 2 ~ 4 1 ~ 2
施 設 野 菜 2 ~ 4 1 ~ 2 2 ~ 3 は種の30日以前
花     き 2 ~ 4 1.5 ~ 2 1 ~ 2 耕   起   前
果  樹  園 2 ~ 4 1 ~ 2 1 ~ 3 11 月 ~ 4 月

■ 水田(水稲)での利用

  •  堆肥はできるだけ年内に施用するようにして下さい。 特に稲わらを一緒にすき込む場合は、収穫後早い時期にすき込むことをお薦めします。(稲わらや十分に発酵していない堆肥を春季(特に作付け直前)に施用すると作付け 後に急激な分解が起こり、 窒素飢餓や土壌中の酸素不足が生じる場合がありますので注意して下さい。)
  •  すき込み作業は、駆動型ディスク、深耕ロータリー、プラウなどの深耕作業機を利用して、 作土深15cm以上を目標に深耕して下さい。

■ 畑地(水稲以外)での利用

  •  牛ふん(尿)堆肥なら10アール当たり年間2~5tを数回に別けて施用して下さい。
  •  作土層が年々浅くなる傾向がありますので、プラウ耕により深耕し、作土層の拡大(25cm以上を目標)に取り組んで下さい。

 堆肥の入手先 、堆肥の使い方、堆肥の作り方などのお問い合わせは、お近くの農業改良普及センター、又は広域地方振興局農林商工部企画調整室へ。